子供の頃から本が好きでした。少年推理小説や子供向けのSF小説から始まり、その後、純文学やコラム。そして近隣に司馬遼太郎氏の実家があった関係から時代物小説を読み始めたり、演劇に興味を持った頃から戯曲とかも読む事がありました。
小説に限らず漫画も好きで読んでいました。かの漫画の神様と呼ばれていた手塚治虫先生。SF作品の第一人者の御一方である石ノ森章太郎先生。国民的アニメであるネコ型ロボットが主人公のSF作品の筆者、藤子不二雄先生。
他にも好きな漫画家さんは沢山いました。そんな時、小学生から上に上がった頃にある漫画家さんの事を知りました。コミカルで奇妙な風体の博士と彼が作り上げたアンドロイドの漫画作品。
シリアスなSF作品が多かった中、その作品は主人公の女性型アンドロイドの身振り、手振り、奇妙な口ぶり、等、まさにギャグ漫画のそれでした。アニメにもなり子供が夢中になり、その主人公の口調を真似してたように思います。
とても人気のあったその作品が終わり暫くしてから、次にその漫画家さんが同じ雑誌にて描かれたのは、西遊記をモチーフにした冒険ものでした。
地球のどこかにある七つの球を全て集めたらどんな願い事も叶うというその世界で、一人の少年と少女の冒険譚でした。その時々に現れる強い敵と戦い最後は仲間になって、やはりその七つの球を共に集める旅に出る。更に強い敵を仲間と共に倒してゆく。
最期の方はアクションがメインの向きが多かったように思いますが、ストーリーの基本ベースはそのような流れで進んでいった漫画作品でした。その作品も前作のそれと同じくアニメなり原作が終わった後もテレビアニメ、映画等で公開され子供から大人まで人気があったヒット作品でした。その作品のタイトルは、『ドラゴンボール』。描かれた漫画家さんのお名前は鳥山明先生と言います。この春、三月一日、その鳥山先生が病気のためお亡くなりになりました。その訃報をネットニュースで聞いた時は愕然としました。多くの訃報がそうであるように、その事実を普段の日常の中で考えもしなかった事ですから。
人はこの世に生まれ落ちた以上、いつか必ずその生が終わる瞬間が来ます。どんな偉い学者であっても、また未成年であったとしてもです。人の生は無限の物ではなく有限の物です。その限られた時間の中で何をするか、出来るかが生きる上でとても大きな目標であり、それは生きる意味合いそのものなのかもしれません。
鳥山先生の作品が自分はとても好きでした。残された作品をこの先も読み続けようと思います。滅した体躯は有限なれど、その方が作られた作品は永遠にこの世に残ります。それは何も有名な人物でなくとも、この世界の全ての人間がなんらかの形で、どこかにその生きた証を残して生を全うするような気がします。
心から感銘を受けました。先生の作品にもその生き方にも。私にとってはとても大きな存在でした。昔も今もそしてこの先もです。最後に慎んで故人のご冥福をお祈り致します。